『つぶやき』

「存在感」


 赤ん坊は何もできない。
 何もできないが、大きな存在感がある。
 その笑顔を見て人は怒りを忘れ、悲しみを忘れ、幸せな思いに包まれる。

 大きくなるにつれ、いろんなことが出来るようになると、その存在は薄れ、
 存在よりもその子が、何ができるかということへ興味が移っていく。 

 大人になると、その人の存在は、社会的地位、社会活動、所有財産などに左右され、
 その大きさが存在感として受け取られる。

 しかし、表面に現れている地位や財産を失い、活動が出来なくなった時、
 (赤ん坊と同じように何も出来ないようになったとき)その存在感は消滅する。

 あの、赤ん坊の大きな存在感は何だろう。近づきたいものだ。